主要用途:共同住宅
構造・規模:木造平屋建
マツとの共存を目指した傾斜路に建つ平屋の賃貸住宅。
敷地は、海にほど近く後方には海風対策として防風林の高木が連なっています。
マツの葉は非常に硬く、枯葉は樋をつまらせ、建物に悪影響を与えます。
周辺調査の結果、この一帯のなかでもこの場所が最もマツに近接し、
かつ前面道路両端の高低差が最も大きい特殊な敷地条件であることがわかりました。
高低差は敷地造成を経て発生した人工物と捉え、自然に逆らうのではなく最大限の敬意を払い、
自然な地盤面の確保と、マツとの共存を掲げました。
そこで、老若男女の利用を想定し、敷地の中心に道路から防風林に向かって緩やかなスロープと、
ジョイントの少ない片流れの大きな屋根を敷地いっぱいに設けました。
バリアフリーに対応したエントランスは、敷地の奥に位置し、
前面道路との高低差解消、マツとヒトとの距離を近づける仕掛けとなります。
日々の暮らしに、自然の偉大さを感じられる装置として21世紀版の建築的プロムナードを提案しました。
また、意匠と採算性バランスを最大限考慮し、費用対効果のある賃貸事業計画に挑戦しました。